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日常にひそむハンカチをめぐるストーリー。素材・成り立ち・遊び方まで。
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「ハンカチはなぜ四角なのですか?」
ある卒業制作でハンカチを題材にする学生さんから問い合わせありました。 私も考えたこともなかったのですがとりあえず「生産上都合がよいからでないでしょうか」と一度お答えしたのですが、歴史をひもとくとおもしろいことがわかります。 18世紀末のフランスでは、実際長方形や円形などのハンカチも存在したようです。 これに対し、マリー・アントワネットがルイ16世に進言し 「わが国のハンカチはすべて正方形にすべし」という法令を1785年6月2日に出しました。 ファッションリーダーであったマリー・アントワネットは自分以外の人間が華美に競い合っていくのを快く思っていなかったのでしょうか。それとも単に四角が使いやすいからと余計なおせっかいなのか、事実はわかりません。 ハンカチの形を法令で出してしまうなんて、おもしろいですよね。 お酒の席での小噺にでもお使い下さい… ちなみに彼女の誕生日である11月2日に近い祝日11月3日が現在ハンカチの日となっています。 ポケットチーフは映画のシーンでは当たり前のようにでてくるのであまり紹介はしませんが、印象的なシーンがあったのでご紹介。
映画はアルフレッド・ヒッチコックの名作サスペンス「裏窓」 1954年作品、ジェームズ・スチュアート、グレース・ケリー出演。 カメラマンのJ・スチュワートは足を骨折し、ニューヨークのアパートで療養中。身動きの取れない彼にとって退屈しのぎの楽しみは、窓から見える中庭と向いのアパートの住人たちを眺める事。だが、その中でセールスマンの夫と激しい口論をしていた病床の妻の姿が見えなくなった事に気づく。セールスマンの様子から、男が女房を殺したのではないかと推測、恋人の役のG・ケリーの協力を得て調査を始めるのだが……。 J・スチュアートが調査を依頼した知人の探偵がブランデーを飲み干そうとして胸元にこぼすシーン。 彼は胸の白いポケットチーフでブランデーをさっとふき、また胸に戻し部屋を出て行く。 現代の英国でも、ポケットチーフを使って洟をかみ、それをまた胸ポケットに戻すことがジェントルマンのあるべき姿とされているとのことです。 イギリス出身のヒッチコックは、そうした背景もよく知っていたのでしょう。 H TOKYOでは実際にハンカチの役割も果たす綿や麻のポケットチーフもご紹介しています。 映画ではご近所さんの日常をのぞき見するのですが、ベランダに布団を敷いて寝る夫婦は素敵です。犬のお散歩はそのベランダから紐でかごをおろしてアパートの庭を散歩させ・・・ またG・ケリーの美しさ、華麗な洋服もさることながら、けが人のため劇中ずっと寝巻き姿のJ・スチュアートのパジャマコレクションも見逃せません。大き目の襟が優雅に肩まで広がって、かっこよいです。 今回はドレスコードに関わるポケットチーフの在り方の紹介。
19世紀から20世紀にかけ英国でドレスコードが完成していきます。 モーニングコート着用(昼間)の第一礼装のときは白い絹製、テイルコート着用(夜間)の第一礼装のときは白い麻製のポケットチーフが相応しいそうです。 またビジネスシーンでのドレスコードはイタリアでは、白い麻製は昼間、夜は絹製のプリントのもの。絹製のプリントのものは昼でも相応しいとのことです。 胸元にちょっと気を配るだけでイメージが大きく変わります。 ネクタイの用に何枚かまとめて揃えてコーディネイトをお楽しみ下さい。 H TOKYOでもシルクのプリントものを中心にポケットチーフをご紹介していますので、ご覧下さい。 参考文献 「スーツの法則」中島渉 小学館 この本は服飾史のおさらいだけでなく、「アナン国連事務総長のポケットチーフはなぜ消えた?」など、有名人の服装から発せられる意味を読み解いていて読み応えのあるおもしろい本です。 ポケットチーフの起源は、ハンカチと元は一緒と考えられるようです。
以前ハンカチのルーツで紹介しましたが、ローマ帝政時代に競技のはじまりを告げるために振られたり、顔を拭うためにつかわれており、ハンカチは儀礼的な意味合いや日常の用途としてのふたつの側面をもっていました。 装飾的に使われるようになったのは、中国で日除けとして使われていた麻布を、15世紀にフランスの船員が故郷に持ち帰り、エポレット(肩飾り)や左袖上に挿しこまれ、アクセサリーとして使われるようになったようです。 そのチーフが胸ポケットに挿されるようになったのは、実は1920年代。胸ポケットがジャケットに定着したころだそうです。今ではスーツやジャケットに当たり前に胸ポケットがついておりますが、その歴史は結構浅いのですね。 ちなみにその胸ポケットの登場自体も19世紀半ば、英国で生まれたチェスターフィールドコートから。そのコートに挿すのはポケットチーフではなくグローブ(手袋)に限られていたそうです。 なるほど何故か雑誌や町でアウターの胸ポケットに手袋をいれているのをみるのはそういう意味があったのですね。 ファッションの歴史をひもとくとおもしろいですね。 参考文献 「男の変身術」落合正勝 PHP研究所 「スーツの法則」中島渉 小学館 リネンについてあれこれとご紹介しています。
今回はリネンの扱いについて。 いくらよくできた素材とはいえ、完璧なものはありません。 注意点もお知りになり、より長くお付き合いください。 人間の付き合いと一緒なんですね・・・ ひとつは縮み。最初に水をとおすと5%ほど縮みます。着るものではないので、縮んでこまった!ということはあまりないですが。乾燥機は避けていただいたほうがよいようです。 もうひとつはしわ。しわがつくとなかなかとれません。服の方では、そのしわもひとつの味わいとみられますが、ハンカチはぱりっとしていたいもの。でもちょっとしたアイロンの心がけできれいに仕上がります。こつは半乾きの状態で中温でかけること。でもそんな器用なことができなければ(自分もできません)、スプレーでたっぷりと水気をもたせてください。アイロンは高温でも大丈夫ですが、中温のほうがよりよいです。 上手なお付き合いをして、パリッとしたリネンのハンカチを末永くお楽しみ下さい。 リネンの素材についてあれこれとご紹介します。
今回はリネンのよいところ。 人類がもっとも古くからお付き合いしてきた繊維であるリネン。長く付き合っても離れられない、むしろその虜にされてしまうリネンの魅力は一体なんでしょうか。 1.吸水性・・・水をよく吸う。 実はリネンの吸水性は綿の4倍!ハンカチにこれほど適した素材もないのです。暑さで汗を流したときも、手を洗ったときも、大失敗で冷や汗をかいたときも。リネンのハンカチはまさに大活躍です。 2.速乾性・通気性・・・すぐ乾いてきもちよい。 水気のあるハンカチをポケットやハンカチにしまうのは気持ちよくないですね。リネンは乾きも早いのです。通気性もよいので夏の素材で出回りますが、一年中つかいまわしの効く大変価値の高い素材。ちなみに夏場は、自分もリネンのシャツを愛用しています。 4.耐久性・・・丈夫で長持ち。 リネンの強度はコットンの2倍。丈夫で長持ち。だから長く付き合える素材なのです。ヨーロッパでは嫁入り道具として、代々伝えられています。 5.衛生的・・・きれいできもちよい。 リネンは汚れをもっとも落としやすい天然繊維。ですから身の回り品にはぴったしなのです。下着のランジェリー(lingerie)の語源になったことは紹介しました。 6.柔らかさ・光沢感 つかえば使い込むほど、やわらかさ・光沢感がましてきます。最初は少しざっくりしていますが、つかいこんでいくうちになじんできます。リネンは10年後が一番美しいともいわれているほどです。アンティークリネンが存在するのもそれだからです。 こんなにいいことずくめのリネン。大事にお付き合いください。 次は扱いのご注意を。これを知ればこわい物なしです。 たまにはお役に立つ話もということで、今週たくさんご紹介しているリネンについて、あれこれご紹介します。
まずはリネンにまつわる話しを。 リネンはなぜかひとが特に愛着をもって接する素材です。 リネンに関する書籍も実際、本屋でひとつのコーナーができるくらい出版されています。 その歴史をひもときますと、リネンは人類最古の繊維といわれています。 紀元前8000年前にはスイス湖畔の居住に使用されていた跡が発見されています。 素材として広く流布したのは地中海地域で、一般の服などや、高貴な素材として神事にも使用されていました。エジプトのファラオのミイラを包んでいたのはリネンです。 そのリネンの文化はヨーロッパに伝わり、リネンは家庭に代々伝わる家宝として大事に扱われてきました。 リネンというとテーブルリネンやベッドリネンなどという意味でもつかわれますが、リネンはそれほど身の回りに大事につかわれてきたのです。現在はベッドリネンといっても必ずしも素材はリネンでなくなってしまいましたが。 肌に身につけるのにもっとも最適とされてきたリネン(linen)は、実際ランジェリー(lingerie)の語源でもあります。 何故か愛着をもってしまうリネンは、人類がもっとも昔から付き合ってきた素材というのが本能的にわかっているからなのでしょうか・・・ 次はリネンの特徴について。 引き続き小説、映画に出てくるハンカチの台詞やシーンのご紹介。
先週からお読みいただいた方は、ハンカチ大人度テストをひとつクリアできますね。正直ぜんぜんお披露目する機会がない役に立たない知識ですが… 「瀬戸内少年野球団」は篠田正浩監督。 出演 夏目雅子、郷ひろみ、渡辺謙、伊丹十三、島田伸助、大滝秀治 戦後の淡路島を舞台にした子供達やその周りの大人たち、またその生活風景が描かれた作品。エピソードがたくさんあって、少年の恋や友情、大人の恋愛沙汰、戦後の様子、ひとびとの職業などとても書ききれません。ひとそれぞれ感ずることろは違うと思いますが、引き出しの多いよい作品です。 さてハンカチの登場は、大滝秀治演ずる巡査が自転車で島をまわっているときに、伊丹十三演ずる提督がつりをしているところに声をかけるシーン。巡査が帽子をさっととり、ポケットから出したハンカチで頭のてっぺんをふくところ。 夏場の暑い中、帽子でむれた頭をふくのは、とても気持ちがよさそうです。 できるひとは限られていますが… チンピラ演ずる島田伸介のポケットチーフも必見。ジャケットに挿されたポケットチーフは飛び出しすぎて下に頭をたれ、その情けなさも見所です。 昨日に引き続きハンカチが映画や小説の中に出てくるシーンや台詞の紹介です。
「サンセット大通り」ビリーワイルダー監督。 出演グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン。 かつての大女優の愛人として暮らす脚本家と、婚約者のいる映画関係の仕事をしている女性が、一緒に脚本を書き上げる作業をしているうちに心を通わせる。ふたりがもっとも近づくシーンで。 「いい匂いだな」 「新しいシャンプーよ」 「さわやかな香り、洗いたてのハンカチのようだ」 こんな台詞をいえたら素敵です。 洗い立てのハンカチに、リネンウォーターをひとふきし、パリッとアイロンをかけたハンカチをもつのって、本当にきもちよいですよ。 それにしてもグロリア・スワンソンのまさに鬼気迫る演技、ハリウッドの裏を物語に近いキャストを使って徹底的に描いたビリー・ワイルダー監督の手腕。一見の価値ある名作です。 ハンカチが映画や小説の中に出てくるシーンや台詞の紹介です。
短編集「パン屋再襲撃」村上春樹の中の一篇「ファミリー・アフェア」に出てくる一節。 「健全な考えだよ、と僕はハンカチで口を拭きながら思った。」 酒を飲みすぎて吐いてしまってから、妹の婚約者のことばを思い出すシーンで。 兄妹でずっとうまくいっていたのに、妹に婚約者があらわれ、妹との関係がぎくしゃくしてしまう。 兄妹の気持ちのつながり・信頼関係や、環境がかわることにより微妙な感情の変化やすれ違いがあらわされていてとても好きな作品。 食事どきに口を拭うのに、ハンカチがさっと出てくると上品ですね。 |
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